期待のズレはどこから生まれるのか──人事と現場の会話がかみ合わなくなる理由
- MIDORI HARA

- 14 時間前
- 読了時間: 4分
採用の場で、人事と現場が同じ候補者を見ているのに、
評価がずれたり、話がかみ合わなくなることがあります。
その背景には「期待のズレ」という構造が働いています。
静かな採用デザイン ─ ラインマネジャーのための10の知恵

第4回|期待のズレはどこから生まれるのか──人事と現場の会話がかみ合わなくなる理由
1|同じ候補者を見ているのに、なぜ話がかみ合わないのか
採用の現場では、誰も手を抜いていないのに、
次のような“すれ違い”が起きることがあります。
面接後のすり合わせで、評価が一致しない
人事は「良い」と言うのに、現場は「違和感がある」と感じる
現場が重視する点と、人事が見ている点がずれている
採用が終わると、接点がほとんどなくなる
育成担当が採用に入らず、後工程で困る
これらは、どの組織でも自然に起きる現象です。
問題は「誰が悪いか」ではなく、
なぜこうしたズレが生まれるのかという構造です。
2|背景にあるのは、“期待のズレ”
会話がかみ合わない理由は、
誰かが間違っているからではありません。
立場ごとに “期待” が違うからです。
人事は「組織全体の方針」や「公平性」を重視する
現場は「明日から一緒に働くイメージ」を重視する
育成は「入社後に伸ばせる範囲」を重視する
どれも正しい。
どれも必要。
ただし、期待が言語化されていないまま進むと、
自然にズレが大きくなります。
3|期待のズレが生まれる“構造”
期待のズレは、個人の性格や相性の問題ではありません。
構造的に、ズレが生まれやすい条件が揃っています。
● 見ている景色が違う
人事は全体を、現場は日々の実務を、育成は入社後を見ている。
● 情報の偏り
立場によって、持っている情報の量と質が違う。
● 判断の線引きが曖昧(第3回と接続)
判断の境界が曖昧だと、期待も曖昧になる。
● すり合わせの場がない
面接後の “なんとなく会話” では、期待は揃わない。
● タイミングがずれている
現場は “今”、人事は “中長期”、育成は“入社後”を見ている。
つまり、
期待のズレは構造から生まれる。
4|GAPはあって当たり前。シンデレラフィットは幻想
ここが今回の核心です。
期待と現実の間にGAPがあるのは、
自然なことです。
経験値
立ち上がりの速さ
仕事の覚え方
コミュニケーションの癖
人によって違うのは当然です。
だから、
完全に一致すること(シンデレラフィット)は、そもそも起きない。
問題は、GAPがあることではなく、
GAPが放置されること。
GAPは自然。
縮めるのは “努力” ではなく“設計”。
この視点がないと、
人事も現場も育成も、
「自分が悪いのでは?」と誤解してしまいます。
5|ズレを小さくするための“設計のヒント”
期待のズレは、
努力ではなく 構造の設計 で小さくできます。
● 情報の流れを決める
誰が、どのタイミングで、何を共有するか。
● すり合わせの場を固定する
面接後に確認する観点を決める。
● 期待を言語化する
「この役割では、ここを重視する」
「この部分は育成で補える」
こうした前提を明確にする。
● タイミングを揃える
採用の前半・後半で期待が変わらないようにする。
● 役割の線引きを前提にする
第3回で扱った “判断の線” を土台にする。
これらはすべて、
次回のテーマ「すり合わせの設計」 につながります。
6|まとめ:GAPは自然。縮めるのは“設計”
ズレは自然
完全一致は幻想
問題は “放置” すること
ズレを小さくするのは “設計”
採用の段階でGAPを最小化できる
次回は「すり合わせの設計」に進む
次回予告|第5回
人事と現場の“すり合わせ”をどう設計するか
──採用プロセスの接続点をつくる
期待のズレを小さくするためには、
“すり合わせの場” をどう設計するかが鍵になります。
次回は、その具体的な方法を扱います。
「静かな採用デザイン ─ ラインマネジャーのための10の知恵」シリーズの目的
このシリーズは、忙しさと責任の板挟みで疲れやすいラインマネジャーが、“本来の仕事に戻るための採用設計” を扱います。
採用が崩れると、1on1が「育成」ではなく「後始末のような対応」になり、マネジャーの時間が奪われていきます。
だから採用は、人を増やす仕事ではなく、後工程を軽くするための “入口設計”として捉え直す必要があります。

第3回は、こちら▼
第3回|役割分担:人事・現場・育成の境界線を引く
責任の押し付け合い構造を断つ設計
第2回は、こちら▼
第2回|見極めようとするほど判断が歪むのはなぜか
第1回は、こちら▼
第1回|面接は“選ぶ”から“見極め合う”へ ─ 2026年の採用環境を俯瞰する
参考記事 ▼ 傾聴の基礎知識とスキル
1on1ミーテイングの道具箱シリーズ

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