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期待のズレはどこから生まれるのか──人事と現場の会話がかみ合わなくなる理由

採用の場で、人事と現場が同じ候補者を見ているのに、

評価がずれたり、話がかみ合わなくなることがあります。

その背景には「期待のズレ」という構造が働いています。




静かな採用デザイン ─ ラインマネジャーのための10の知恵




採用面接で判断の重みを感じ、考え込むラインマネジャーのイメージ



第4回|期待のズレはどこから生まれるのか──人事と現場の会話がかみ合わなくなる理由




1|同じ候補者を見ているのに、なぜ話がかみ合わないのか


採用の現場では、誰も手を抜いていないのに、

次のような“すれ違い”が起きることがあります。


  • 面接後のすり合わせで、評価が一致しない

  • 人事は「良い」と言うのに、現場は「違和感がある」と感じる

  • 現場が重視する点と、人事が見ている点がずれている


  • 採用が終わると、接点がほとんどなくなる

  • 育成担当が採用に入らず、後工程で困る


これらは、どの組織でも自然に起きる現象です。


問題は「誰が悪いか」ではなく、

なぜこうしたズレが生まれるのかという構造です。




2|背景にあるのは、“期待のズレ”


会話がかみ合わない理由は、

誰かが間違っているからではありません。

立場ごとに 期待 が違うからです。


  • 人事は「組織全体の方針」や「公平性」を重視する

  • 現場は「明日から一緒に働くイメージ」を重視する

  • 育成は「入社後に伸ばせる範囲」を重視する


どれも正しい。

どれも必要。


ただし、期待が言語化されていないまま進むと、

自然にズレが大きくなります。




3|期待のズレが生まれる“構造”


期待のズレは、個人の性格や相性の問題ではありません。

構造的に、ズレが生まれやすい条件が揃っています。


● 見ている景色が違う

人事は全体を、現場は日々の実務を、育成は入社後を見ている。


● 情報の偏り

立場によって、持っている情報の量と質が違う。


● 判断の線引きが曖昧(第3回と接続)

判断の境界が曖昧だと、期待も曖昧になる。


● すり合わせの場がない

面接後の “なんとなく会話” では、期待は揃わない。


● タイミングがずれている

現場は “今”、人事は “中長期”、育成は“入社後”を見ている。


つまり、

期待のズレは構造から生まれる。




4|GAPはあって当たり前。シンデレラフィットは幻想


ここが今回の核心です。


期待と現実の間にGAPがあるのは、

自然なことです。


  • 経験値

  • 立ち上がりの速さ

  • 仕事の覚え方

  • コミュニケーションの癖

人によって違うのは当然です。


だから、

完全に一致すること(シンデレラフィット)は、そもそも起きない。


問題は、GAPがあることではなく、

GAPが放置されること

GAPは自然。


縮めるのは “努力” ではなく“設計”。


この視点がないと、

人事も現場も育成も、

「自分が悪いのでは?」と誤解してしまいます。




5|ズレを小さくするための“設計のヒント”


期待のズレは、

努力ではなく 構造の設計 で小さくできます。


● 情報の流れを決める

誰が、どのタイミングで、何を共有するか。


● すり合わせの場を固定する

面接後に確認する観点を決める。


● 期待を言語化する

「この役割では、ここを重視する」

「この部分は育成で補える」

こうした前提を明確にする。


● タイミングを揃える

採用の前半・後半で期待が変わらないようにする。


● 役割の線引きを前提にする

第3回で扱った “判断の線” を土台にする。


これらはすべて、

次回のテーマ「すり合わせの設計」 につながります。




6|まとめ:GAPは自然。縮めるのは“設計”


  • ズレは自然

  • 完全一致は幻想

  • 問題は “放置” すること


  • ズレを小さくするのは “設計”

  • 採用の段階でGAPを最小化できる

  • 次回は「すり合わせの設計」に進む




次回予告|第5回

人事と現場の“すり合わせ”をどう設計するか

──採用プロセスの接続点をつくる


期待のズレを小さくするためには、

“すり合わせの場” をどう設計するかが鍵になります。

次回は、その具体的な方法を扱います。





「静かな採用デザイン ─ ラインマネジャーのための10の知恵」シリーズの目的


このシリーズは、忙しさと責任の板挟みで疲れやすいラインマネジャーが、“本来の仕事に戻るための採用設計” を扱います。


採用が崩れると、1on1が「育成」ではなく「後始末のような対応」になり、マネジャーの時間が奪われていきます。

だから採用は、人を増やす仕事ではなく、後工程を軽くするための “入口設計”として捉え直す必要があります。




採用における期待のズレの構造を示すイメージ



第3回は、こちら▼


第3回|役割分担:人事・現場・育成の境界線を引く

責任の押し付け合い構造を断つ設計



第2回は、こちら▼


第2回|見極めようとするほど判断が歪むのはなぜか



第1回はこちら▼


第1回|面接は“選ぶ”から“見極め合う”へ ─ 2026年の採用環境を俯瞰する





参考記事 ▼ 傾聴の基礎知識とスキル


1on1ミーテイングの道具箱シリーズ














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