共感しすぎると、見えなくなるもの
- MIDORI HARA

- 1 日前
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静かな人間関係デザイン ─ 対話と共感のひと粒エッセイ シリーズ:第8粒🍬

共感しすぎると、見えなくなるもの
「共感力が高い人ほど、信頼される」──そう語られることが多い現代の職場では、共感はリーダーシップや対話力の重要な要素とされています。確かに、相手の気持ちに寄り添う姿勢は、安心感を生み、関係性を深める力があります。
しかし、共感には “深さ”と“距離” のバランスが必要です。共感しすぎることで、かえって見えなくなるものがあるのです。
たとえば、部下が悩みを打ち明けたとき、「わかるよ」「私も同じだった」とすぐに寄り添うことで、相手は一時的に安心するかもしれません。でもその瞬間、リーダー自身の経験が前面に出てしまい、相手の本当の感情や背景が見えにくくなることがあります。
共感が「同化」に近づくと、対話は “自分の物語” にすり替わってしまいます。相手の立場に立ちすぎることで、冷静な視点や問いかけの力が弱まり、結果として支援の質が下がってしまうのです。
では、どうすればよいのでしょうか。
大切なのは、「共感しながら、巻き込まれない」ことです。感情に寄り添いつつも、少し引いた位置から問いを投げる。
たとえば、「それはつらかったですね。今、何が一番気がかりですか?」といった問いは、相手の感情を受け止めながらも、思考を促す力を持っています。
共感とは、相手の感情に寄り添うことだけではなく、「その人がその人らしくあるための余白を守ること」でもあります。リーダーがニュートラルな姿勢を保つことで、相手は安心して自分のペースで考え、話すことができるのです。
共感は、関係性の潤滑油であると同時に、境界線の設計でもあります。近づきすぎず、離れすぎず──その絶妙な距離感が、心理的安全性を支える土台になります。
📝次回は、第9粒:「“やる気”に頼らない働き方──感情と行動の距離感」



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