関わらない方が楽──でも、それではチームが息苦しくなる:心理的安全性と職場の空気を整える一歩
- MIDORI HARA

- 11月4日
- 読了時間: 5分
関わらない方が楽──でも、それではチームが息苦しくなる
心理的安全性と職場の空気を整える一歩
職場の “空気” は、自然にはよくならない。
分断と無関心の時代に、関係性をほどよい距離感で再設計するヒント。
誰かが動くのを待たず、自分からできることを考えてみませんか?

序章:その「空気」、誰がつくってる?
「暑すぎず、寒すぎず。風もほどよく吹いて、しなやか」。
職場の理想像って、まるで季節の変わり目みたいな空気感かもしれません。しかし、現実はどうでしょう。
✓ 声をかけると迷惑そうにされるのが怖い
✓「あの人に話してもムダだろう」と最初から諦める
✓ 頑張ってるけど、誰にも見られてない感覚
知らず知らずのうちに、私たちは「関わらない」という空気を選んでいるのかもしれません。
でも、ふとした対話で、 「あれ?このチーム、なんか違うぞ」と思える場所って、確かにある。 それって、偶然でしょうか? それとも、誰かが “少しだけ手をかけた” 結果でしょうか?
Part 1|「関わらない方が楽」という職場の空気
最近、職場で「お互い無関心すぎませんか?」 世代の違い、雇用形態の違い、働き方や価値観のズレ—— 分断のタネはそこかしこに転がっています。
でも実は、一番の壁は “沈黙” かもしれません。
✓ 「気にかけてますよ」と言うのが照れくさい
✓ 「声をかけても、返ってこなかったら傷つく」
✓ 「別に頼られなくても、自分のことだけやればいいでしょ」
——いつから「関心をもつこと」がこんなに難しくなったのでしょう。成果主義、リモートワーク、非正規との線引き…… 背景には、極端な “個人化” が進んだ職場の姿があります。
しかも、それが「合理的」「自立してる」ともてはやされることすらある。でも本当にそうでしょうか? 個人に過度な期待をかける働き方は、属人化を深め、 その人が倒れれば、チームごと止まってしまう危うさを孕んでいます。
属人化は効率的に見えて、 実は「関係がつながる機会」を奪い、 気づけば、孤立と息苦しさを抱え込む職場をつくってしまうのです。
Part 2|沈黙の裏にある “安心できない関係”
職場の空気は、誰か “えらい人” が変えてくれるものではありません。 むしろ、それは日々のちょっとした声かけや、関心の積み重ねからできていく。「心理的安全性」という言葉が注目されて久しいですが、 それは “気を使うこと”でも、“甘やかすこと” でもありません。
それは——「自分の意見を出しても、見捨てられない」 「自分の存在がここにあっていいと、なんとなく感じられる」そんな確信が、場全体にじんわり共有されている状態。
これは、リーダーだけが作るものではありません。 「誰かに気にかけられた」「ちょっと声をかけられた」 そうした、小さなやりとりが積み重なることが不可欠です。
さらに大切なのは、“適度な距離感”。 近すぎれば息が詰まるし、遠すぎれば関係が途切れる。
心地よさは人によって違います。だからこそ、 一人ひとりの“声のかけ方・受け取り方”を尊重できる余白が必要です。

Part 3|心理的安全性は「関わる勇気」から始まる
まず意識したいのは、「率先して話す」よりも、「まず聴く」姿勢です。心理的安全性を育むチームは、 決して“フラットで何でも言える場”ではなく、 「どんな声にも耳を傾けようとする態度」が共有されている場です。
そのために、マネジャーができることは——
意見を出す前に「どう思う?」と問いかける
雑談に応じるのではなく、自ら雑談をはじめる
1on1では進捗よりも、自分の最近の小さな気づきや迷いを開示しながら「◯◯さんは最近どう感じてる?」と問いかける
自分の失敗や迷いも適度に共有して、“完璧” を降りる
そして忘れてはならないのが、適度な距離感 の設計。 メンバー一人ひとりに「気にかけられている」実感を与えつつ、 過干渉にならない配慮が必要です。
管理職は “空気の番人” ではなく、 「声が行き交いやすい地形を整える設計者」なのかもしれません。
Part 4|小さな一歩が、チームの空気を変えていく
「空気って、上が決めるものでしょ?」 そんな風に、どこかで思っていませんか?
でも、実際の空気をつくるのは、日々のふるまいの積み重ねです。 その意味では、メンバーこそが “空気の源” とも言えます。できることは、たくさんあります。
挨拶やねぎらい、相手の変化へのひとこと声かけ
雑談/small talkのきっかけになる話題を一つ持っておく
会議後に「さっきの○○、いい視点でしたね」と送るDM
誰かの困り顔に、「大丈夫?」と声をかける勇気
何も、距離感を詰めすぎる必要はありません。 “適度な関心” が、関係性の起点になります。
関係性は、「何かあったときに助け合える土壌」です。 それは、誰かが自分にしてくれた一言から、始まるのかもしれません。
Ending:空気は、思っているより動かせる
「あのチーム、なんか空気いいよね」 そんなふうに言われる職場には、必ず理由があります。
それは、誰かが大きな変革をしたからではなく、 “ふつうの誰か” が、ほんの少し関わる選択をしてきた結果です。
職場の空気は、偶然の産物ではありません。 でも、それは特別な才能がないと変えられないものでもありません。
必要なのは、関わろうとする意思と、適度な距離感。 今日、何か一つ「自分からできること」をやってみる。
——その行動が、チームの空気を変える第一歩になるでしょう。


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