楽観主義と現実主義 ─ ビジネスと人生における適切な捉え方
- MIDORI HARA

- 12 分前
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はじめに
「ケ・セラ・セラ(なるようになるさ)」──耳にしたことがある人も多いでしょう。一方で現場では「なるようになる」だけでは済まされない状況も数多くあります。この矛盾するように見える両極、楽観主義と現実主義のバランスは、仕事や人生を歩むうえで避けて通れないテーマです。
楽観主義の光と影
ポジティブ心理学の第一人者マーティン・セリグマン博士は「学習された無力感」を提唱しました。否定的な出来事を「自分にはどうにもできない」と思い込み続けると、人は挑戦を避けてしまいます。ここに “学習された楽観” の重要性があります。
たとえば、営業で大口契約を逃した時。「失敗は一時的で、他にチャンスはある」と捉える人は、次の行動に移りやすい。これは単なる“能天気さ”ではなく、未来に希望を見出す力です。
現実主義の強み
一方で、アルバート・バンデュラ博士の「自己効力感」は現実主義と親和性が高い概念です。現実を直視し、「今の自分に何ができるか」を冷静に見極める姿勢は、緊急性の高い仕事や数字が絡む領域で必須です。
医師がオペ中に「きっと大丈夫」と言うだけでは危うい。警察官や会計士も同じです。冷静で現実的な判断が、人命や信頼を守ります。
バランスをどう取るか?
チームでのプロジェクト:楽観主義が士気を高め、現実主義がリスクを抑える。
個人のキャリア:本来楽観的な人は現実主義を少し取り入れると安定する。 逆に現実主義が強い人は、楽観的な練習をするとストレス耐性が高まる。
つまり、「どちらか一方ではなく、状況に応じて使い分ける柔軟さ」が鍵です。
1on1の現場から
私が関わる1on1でも、このバランスはしばしばテーマになります。メンバーが落ち込んでいるときには、未来への楽観を共有することで伴走します。
一方、リスクが迫る場面では、現実を冷静に言葉にして整理する。Cool Head & Warm Heart ─ まさにこの両立が、信頼を育てる土台です。
メンタリングの視点
メンターは「どちらを強め、どちらを和らげるか」を一緒に探す役割を担います。過度な楽観や行き過ぎた現実主義は、どちらも本人を追い詰めます。
だからこそ、余白を持ちつつ、語り合いながら調整する。これが、単なる理論ではなく「伴走するメンタリング」の実務です。
結び
楽観主義と現実主義。どちらも排除すべきものではなく、むしろ掛け算することで力を発揮します。自分の傾向を理解し、必要に応じて補正する。そして、対話や1on1を通じて他者と共に学び直す。
ビジネスと人生を歩む私たちにとって、これは一度きりの答えではなく、何度も調整し直す旅路です。その旅においてこそ、Cool Head & Warm Heart が真価を発揮するのです。


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