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リーダーシップの誤解を解く──救世主ではなく、共に育つパートナーへ

  • 執筆者の写真: MIDORI HARA
    MIDORI HARA
  • 10月23日
  • 読了時間: 7分

「自分が救わねば」という思い込みは、チームの成長をむしろ阻害します。

本稿では “救世主コンプレックス” を乗り越え、リーダーが真のパートナーとして共に学び、育つための実践的なアプローチを解説します。



目次


  1. リーダーシップの誤解と「救世主コンプレックス」

  2. ロン・カルッチ氏の理論と心理的影響

  3. 「育てる」リーダーがもたらすチームの持続的成長

  4. 共感・オープンコミュニケーション・学習環境の構築

  5. パートナーシップ型リーダーシップの実践例と未来像





リーダーシップの誤解:救世主コンプレックスのイメージイラスト



リーダーシップの誤解と「救世主コンプレックス」


リーダーシップには多くの陥りやすい落とし穴がありますが、その中でも"救世主"として行動し始めることは一つの大きな問題です。


しかし、真のリーダーシップとは何でしょうか?


これを理解するため、私たちはビジネスコンサルタント、ロン・カルッチ氏の理論に基づき、"救世主コンプレックス" とその影響について探り、真のリーダーシップへの道を考察します。


同時に、具体的な方法を提供し、"救世主" からの脱却とチーム全体の成長を促進するための行動へと移すための戦略を解説します。




ロン・カルッチ氏の理論と心理的影響


リーダーシップを執る者が、自分が全てを解決する"救世主"として行動し始めると、予想外の問題が発生することがあります。


この "救世主コンプレックス" は、ビジネスコンサルタントのロン・カルッチ氏が提唱する理論で、リーダーが自分自身の達成感や幸せを追求することから生じますが、その結果、チームメンバーの成長や自立が阻害される可能性があります。


具体的には、リーダーが問題解決を全て自身が行ってしまうと、チームメンバーは自己効力感が低下し、自ら問題解決する機会を失います。

これは長期的に見ると、チームの学習機会の損失や、自立した問題解決能力の育成を阻害します。



「誠実な組織 信頼と推進力で満ちた場のつくり方 」– 2023/10/20

ロン・カルッチ氏 (著) 出版社 ‏ :ディスカヴァー・トゥエンティワン



「育てる」リーダーがもたらすチームの持続的成長


真の利他行動は、単に他人を助けるだけでなく、相手の成長と自立を促進する行動です。これは "人助け" とは一線を画し、相手が自ら問題を解決できるようにサポートすることを意味します。


自己満足を追求するのではなく、相手のニーズを理解し、それに基づいた適切なサポートを提供することが求められます。これを達成するためには、自分自身の価値観や解釈を押し付けるのではなく、相手の視点を理解し共感することが不可欠です。


具体的な方法としては、聴く力の養成やフィードバックの求め方共有の学習環境の構築などがあります。


これらを通じて、リーダーは公平性と共感性を維持しつつ、真の利他行動を行うことができます。




リーダーとチームが協力する様子を描いたイメージイラスト



共感・オープンコミュニケーション・学習環境の構築


リーダーとして、自分のアドバイスを提供した後にそれが受け入れられない場合や、思うように結果が出ない時、感情的なもつれやコンフリクトが発生することがあります。


しかし、このような状況は避けられないもので、むしろ、リーダーが感情を理解し、適切に管理する機会となります。真のリーダーシップは、自己の感情を認識し、それを制御し、そして他人の感情を理解する能力に根ざしています。


また、異なる意見や視点を持つ人々との間で起こり得るコンフリクトを恐れるのではなく、それを成長の機会と捉えることも重要です。コンフリクトは、新たな視点をもたらし、問題解決の新しい方法を見つける機会を提供します。


そのためには、異なる意見を尊重し建設的な対話を通じて共通の解決策を見つけることが求められます。このような対等なパートナーシップの形成は、真のリーダーシップの一部であり、リーダーが自身の幸福感を追求するだけでなく、チーム全体の成長と発展を促進する重要な要素となります。

 


パートナーシップ型リーダーシップの実践例と未来像


①パートナーシップの構築


リーダーとして、対等なパートナーシップを構築することは極めて重要です。それは、単にアドバイスを与えるだけでなく、フィードバックを受け入れ、一緒に学び、共に成長することを意味します。それはまた、互いの視点を尊重し、調和を尊重し、公平な対話を重視することで、真のパートナーシップを築くことにつながります。


オープンコミュニケーションを実践する


リーダーとして、自分の考えや感情を明確に伝えることはもちろん、他人の意見を尊重し、理解するために、オープンなコミュニケーションを維持することが重要です。これには、他人の視点を理解し、適切な質問を投げかけ、思考の過程を共有することが含まれます。 


共感を示す


他人の経験や視点を理解し、共感することは、パートナーシップを構築するための基礎です。共感を示すことは、他人の意見を理解し、それを尊重するというメッセージを送るだけでなく、他人の考えや感情に対する理解を深められるでしょう。


④チームの意思決定に参加させる


リーダーとして、決定を下すだけでなく、チームメンバーを意思決定のプロセスに参加させることが重要です。メンバー全員がチームの成功に貢献していると感じることができ、より深いコミットメントを得られます。 


これらの戦略を用いることで、リーダーは単なる「救世主」から真のパートナーへと変わることができ、チーム全体の成長と成功を最大限に促進するしでしょう。

 

 

実際の行動へと移す方法

 

①フィードバックを歓迎する 


リーダーとして、自分の行動や決定が他人からどのように受け取られているかを理解するために、フィードバックを積極的に求めることが重要です。これには、具体的な改善点を求めたり、定期的なパフォーマンスレビューを実施したりすることが含まれます。


フィードバックは双方向であるべきで、チームメンバーからのフィードバックを歓迎するだけでなく、自身も他のメンバーに対して建設的なフィードバックを提供しましょう。 


共有の学習環境を創り出す 


チーム全体で新しいスキルや知識を学ぶことにより、チーム全体が一緒に成長できる環境を創り出すことができます。これは、共有のリソースを提供したり、スキルシェアリングセッションを設けたり、定期的な学習の機会を提供したりすることによって達成するでしょう。 


共有のビジョンを創り出す 


チーム全体が一体となり、共通の目標に向かって努力するためには、共有のビジョンを創り出すことが重要です。これには、チームメンバー全員がビジョンの作成プロセスに参加し、自身の意見や視点を共有することが含まれます。チームメンバー全員がチームの目標と方向性に共感し、コミットすることができます。 


これらのテクニックを活用することで、リーダーは対等なパートナーシップを構築し、チーム全体の成長と成功を促進することができます。真のリーダーシップとは、自身だけでなく、チーム全体を成功に導くことです。それは、個々のメンバーが自身の潜在能力を最大限に引き出し、共に成長することを可能にすることから始まります。

 


リーダーとしての道は簡単ではなく、時には困難な課題に直面します。


しかし、その難しさを理解し、適切な対処法を学ぶことで、"救世主" から真のパートナーへと成長することが可能です。


真のリーダーは、単に問題を解決するだけではなく、チームメンバーの学習、成長、自立を促進します。


これを達成するためには、対等なパートナーシップの構築、感情の管理、コンフリクトの適切な扱い、そして自己の行動と決定が他人からどのように受け取られているかを理解することが重要。


本記事が、あなたが真のリーダーシップを発揮するための一助となることを願っています。


この旅はあなた自身との深い対話から始まりそして他者と共に成長することへと続きます。その一歩一歩が、あなた自身とチーム全体の成長を促進することでしょう。




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