働く女性の、あの日、私の声が遠のいた理由
- MIDORI HARA

- 4月26日
- 読了時間: 3分
更新日:5月6日
30年、女性たちの声を聴き続けてきた著者が描く、ライフサイクルの断片。
「当たり前」という言葉に飲み込まれそうな夜、あなたの心に小さな灯りを。
今の自分を、そのまま受け入れるための物語です。
働く女性のライフサイクル シリーズ |第4回
働く女性の、あの日、私の声が遠のいた理由
家庭と仕事のあいだで、自分の声が遠のいていく瞬間があります。
誰も悪気はなく、むしろ優しさのつもりでかけられた言葉が、
いつの間にか“当たり前”として積み重なり、
自分の居場所が少しずつ曖昧になっていく。
そんな揺れの奥にあるものを、今回は静かに辿っていきます。
***
職場で感じた「いなくても困らない人」という寂しさ
「あ、ハルカさん! 久しぶり」
声をかけてくれる同僚たちは、みんな時計を気にしながら、次の会議へと歩いていく。
私のデスクだった場所には、もう知らない誰かのファイルが置かれていた。
でも、引き出しの奥に貼ったままの小さな付箋だけが、
——ああ、私はここにいたんだな、と思わせてくれた。
夫から転勤の話を聞かされた日のことを思い出す。
「あっちなら、のびのび子育てできるよ」
どうして、何も言えなかったんだろう。
あんなにオンコールに怯えていたのに。
電話が鳴るたび、心臓がきゅっと縮んで。
それでも、中途半端だと言われたくなくて、
この “無償の当番勤務” を続けてきたのは、私なのに。
「君はどうしたい?」と誰からも訊かれなかった孤独
「君はどうしたい?」
そのひと言を、誰からも訊かれなかった。
実家の母も、義両親も、
「あら大変ね、しっかり支えてあげなさいよ」と言うだけで。
——私は、最初から“ついて行く人”として見られていたのかな。
職場でも同じだった。
「東北か、子育てにはいいね」
「辞める時期、いつにする?」
部長の声を聞いた瞬間、喉の奥が少し熱くなった。
「オンコール」に怯えながら守り抜いたデスクの価値
この数年、呼び出しの電話に怯えながら、
何度も頭を下げて守ってきたこのデスク。
キャリアアップなんて考えたことはなかったけれど、
私にはここが必要だった。
なのに、私の気持ちを誰も確かめないまま、
退職の書類だけが淡々と進んでいく。
——ここでも、私は“いなくても困らない人”だったのかな。
もし、あのとき。
もし、別の選択ができていたら。
そんな断片が、ふっと浮かんでは消える。
東北の春を待ちながら、自分の声に耳を澄ます
東北の春は、東京より少し遅れてやってくる。
心の中の春も、追いつくまで
もう少し時間がかかるのかもしれない。
アッ……もうこんな時間。
早くお迎えに行かなきゃ。
***
もしあなたにも、
胸の奥にしまい込んだ “後ろめたさ” や、
自分の声がふっと遠のく瞬間があったなら、
この先のページは、
その感覚にそっと触れる場所になるかもしれません。
ハルカさんの揺れの奥にあるものを、
一緒に見にいきましょう。
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ℹ️ このシリーズのエピソードは、働く女性へのメンタリングやインタビュー調査結果と考察をもとに作られています。
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